龍驤の特徴

ワシントン条約では1万トン以下の空母は制限対象外とされたため、日本海軍は1万トン以下の小型空母を大量生産する計画を立て、龍驤を基準排水量8,000トン、速力30knで建造しようとした。ところが、ロンドン条約が締結されると、1万トン以下の空母も制限枠内に入れることが決まり、無理をして1万トン以下に抑える必要がなくなった。しかし、すでに船体の建造は進行していたために、基準排水量8,000トンの船体に不釣り合いな上部構造物を載せる形となった。
同時期にアメリカでも中型空母の建造が始まり、レキシントン型2隻を建造した後は基準排水量13,800トン、速力30knのレンジャーが計画された。このレンジャーも龍驤と同じく失敗作で、搭載機数を76機と欲張ったため基準排水量が14,500トンと増え、速力も29knと低速に甘んじた。奇しくも日米両国で欲張った考えの基に作られた空母は両艦とも駄作の名を冠せられることとなってしまった。
龍驤の大改装
当初は1段格納庫だったのを2段格納庫にし搭載機数を24機から36機に増やしたため、頭でっかちの船形となり基準排水量も10,600トンとなってしまった。当然復原力向上のためバルジを装着したが、なお不安が残るので12門装備していた高角砲を8門に減らし、船底に錘としてバラスト・キールを取り付けたり、煙突の位置を低くしたりした結果、何とか実用に耐えるところまでにはなった。しかし、速力は30knの計画を下回り29kn止まりだったのと、鳳翔より短い156.5mの飛行甲板では機体の重い艦攻や艦爆の発艦がままならず、主に戦闘機を搭載する空母として使用されることとなった。
龍驤のスペック
諸元 | 龍驤 | |
---|---|---|
新造時 | 改装後 | |
基準排水量(英トン) | 8,000 | 10,600 |
公試排水量(メートルトン) | 10,150 | 12,732 |
水線長(m) | 175.39 | 176.62 |
最大幅(m) | 20.32 | 20.78 |
飛行甲板(長さ×幅、m) | 156.5×23.0 | 156.5×23.0 |
出力(馬力) | 65,000 | 65,000 |
速力(kn) | 29.0 | 29.0 |
航続距離(kn-海浬) | 14-10,000 | 14-10,000 |
備砲 | 12cm連高×6、13mm4連×6 | 12cm連高×4、25mm連×2、13mm4連×6 |
搭載機数 | 36+12 | 36+12 |
昇降機数 | 2 | 2 |
沈没 | 17.8.24/ガダルカナル沖/航空機 |