龍鳳、祥鳳、瑞鳳の特徴

ロンドン条約で1万トン以下の空母も制限枠内に入れられたので、制限外の潜水母艦などの特設艦を建造し、戦時の際は3箇月で空母に改造できるような設計をしておこうと考えた。これによって建造されたのが潜水母艦の大鯨であり、高崎、剣崎である。これらは空母に改造されそれぞれ龍鳳、瑞鳳、祥鳳となった。
ロンドン条約では、潜水母艦や給油艦などの特設艦は、基準排水量1万トン以下、速力20kn以下であれば無制限に建造できたので、基本船体は空母の設計をして上部構造をそれらしく作っておけば、いざというときには空母への変身が素早くできるという具合である。機関も改造時に罐やタービンを増設できるようにスペースを予めとって設計されていた。また、格納庫は空母として使用できるように2層作り、エレベーターも2基装備していた。
艦橋は格納庫前部に作られ、飛行甲板が張られたら龍驤のように飛行甲板下の最前方になるよう設計された。さすがに煙突だけは横に張り出すわけにはいかず、船体の中央に直立させたが、改造時は舷外に排気できるようになっていた。こうして大鯨は昭和9年3月に潜水母艦として完成した。
剣崎は給油艦として最初は設計されたが、途中で潜水母艦に改められ昭和14年1月に完成、続いて建造していた高崎はロンドン条約を破棄していたこともあって、そのまま空母として昭和15年12月に完成させた。
この3艦はいずれも基準排水量1万トン強の小型空母で、速力は27kn前後、搭載機数は戦闘機30機、対空火器は12.7cm連装砲4基8門というスペックだったが、正規空母と行動を共にして良く奮戦した空母である。改造空母の中でも一番よく働いた3隻と言えよう。
龍鳳、祥鳳、瑞鳳の改装
龍鳳、祥鳳、瑞鳳は大きな改装はない。
龍鳳、祥鳳、瑞鳳のスペック
諸元 | 龍鳳(元大鯨) | 祥鳳(元剣崎) | 瑞鳳(元高崎) |
---|---|---|---|
基準排水量(英トン) | 13,360 | 11,200 | 11,200 |
公試排水量(メートルトン) | 15,300 | 13,100 | 13,100 |
水線長(m) | 210.00 | 201.43 | 201.43 |
最大幅(m) | 19.58 | 18.0 | 18.0 |
飛行甲板(長さ×幅、m) | 185.0×23.0 | 180.0×23.0 | 180.0×23.0 |
出力(馬力) | 52,000 | 52,000 | 52,000 |
速力(kn) | 26.5 | 28.0 | 28.0 |
航続距離(kn-海浬) | 18-8,000 | 18-7,800 | 18-7,800 |
備砲 | 12.7cm連高×4、25mm3連×10 | 12.7cm連高×4、25mm連×4 | 12.7cm連高×4、25mm連×4 |
搭載機数 | 24+7 | 27+3 | 27+3 |
昇降機数 | 2 | 2 | 2 |
沈没 | 21.4.2~21.9.25/解体処分 | 17.5.7/珊瑚海/航空機 | 19.10.25/エンガノ岬東方/航空機 |