一等特型駆逐艦の特徴
第三次補充計画(通称マル三計画)において建造された吹雪型20隻と暁型4隻を特型と呼称する。吹雪型、暁型はほぼ同じスペックであるが、罐の性能がアップしたため、吹雪型では4罐だったのが暁型では3罐となっている。
特型の最大特徴は従来型である峯風型に比べて、武装を強化したところにある。備砲を12cm4門から12.7cm6門に、53cm発射管6門を61cm発射管9門にし、砲撃力、雷撃力とも1.5倍以上アップしている。50口径12.7cm連装砲は新型で、これ以降艦隊駆逐艦の定番となる。最大射程16,000m、仰角は対空砲として使えるよう85度まで可動し、初速は910m/sであった。九十式61cm魚雷(空気式)発射管は3連装で第1煙突と第2煙突の間に1基、第2煙突と2番砲塔の間に2基装備され、予備魚雷も9本搭載していたので、2斉射雷撃ができた。
戦艦部隊の護衛を任務とするため、ある程度艦隊行動が取れる航続力を要求されたので、14knで4,500海浬航走できた。また、荒海での凌波性能を良くするために、船首楼を艦橋後方まで伸ばすことで艦前半部分の乾舷を高くして、波に突っ込んだときも大きい浮力ですぐに頭が波から抜け出るようにされた。
一等特型駆逐艦の同型艦
ネームシップ | 同型艦 |
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吹雪 | 吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲、磯波、浦波、綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、狭霧、朧、曙、漣、潮 |
暁 | 暁、響、雷、電 |
一等特型駆逐艦のスペック
諸元 | 吹雪型 | 暁型 |
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基準排水量(英トン) | 1,680 | 1,680 |
公試排水量(メートルトン) | 1,980 | 1,980 |
水線長(m) | 115.30 | 115.30 |
最大幅(m) | 10.36 | 10.36 |
出力(馬力) | 50,000 | 50,000 |
速力(kn) | 38.0 | 38.0 |
備砲 | 12.7cm連装×3 | 12.7cm連装×3 |
発射管 | 61cm3連装×3 | 61cm3連装×3 |