砲、機銃、噴進砲

艦艇に装備される砲や機銃は攻撃力を計るのに一番わかりやすい武器である。ただし、小艦艇は砲の威力より魚雷のほうが優っている場合がほとんどなので、その艦に装備されている一番大きな砲でも主砲と呼ばない。

軍艦の象徴と言えば主砲の大きさである。戦艦は他の艦艇の主砲より大きな砲を装備しており、いかに大口径の砲をたくさん積めるかが設計者の腕の見せどころであった。ヤード・ポンド法で船体設計はされていたが、砲もヤード・ポンド法で造られている。ただし、表記においては日本海軍はメートル法で示され、センチはフランス語読みでサンチと呼んでいた。

砲の威力はその内径と長さによって大半が決定する。爆発力という視点から言えば内径が大きいものほど炸薬量が多いのでより強力である。射程距離の観点から言えば砲身の長いものほど初速が大きくなりより遠くへ砲弾を飛ばせることができる。砲身の長さを内径で割ったものを「口径」という。すなわち、45口径36センチ砲という表記であれば砲身長は45×0.36m=16.2mということになる。

戦艦の主砲としては、金剛型、扶桑型、伊勢型が36センチ(14インチ=35.56センチ)、長門型が40センチ(16インチ=40.64センチ)、大和型が46センチ(18インチ=45.72センチ)である。また、副砲としては大和型の15.5センチ(6.1インチ)を装備した他は金剛型、扶桑型が15.2センチ(6インチ)砲、伊勢型、長門型が14センチ(5.5インチ)砲を装備している。

重巡洋艦は、古鷹型が当初20センチ(7.9インチ)を搭載していたが後に正20センチ(8インチ=20.32センチ)砲に換装している。妙高型、高雄型、利根型は竣工時から正20センチ(20.32センチ=8インチ)砲を装備している。最上型に関しては軽巡として設計、竣工したので当初は軽巡の規格いっぱいの15.5センチ(6.1インチ)砲を装備していたが、開戦前(昭和14年、15年)秘密裏に正20センチ(20.32センチ=8インチ)砲に換装している。ちなみに、最上型の15.5センチ砲は着弾性能が良かったために、大和型戦艦の副砲に流用されている。

軽巡洋艦はロンドン条約以前に竣工した球磨型、長良型、川内型、夕張は14センチ(5.5インチ)砲が装備され以後の阿賀野型は15センチ(6インチ)が、大淀は15.5センチ(6.1インチ)が装備された。

駆逐艦は吹雪型以降の艦に12.7センチ(5インチ)砲が装備された。なお、防空駆逐艦である秋月型は10センチ(4インチ=10.16センチ)高角砲が装備されている。

海軍艦艇において使用された高角砲で主なものは次の通りである。

名称砲身長(口径)口径cm(インチ)初速m/s最大射高m最大発射速度(発/分)
三年式8cm高角砲408(3)6706,80013
搭載艦扶桑型、伊勢型、鳳翔、古鷹型、球磨型、長良型、川内型
九八式8cm高角砲608(3)9009,10026
搭載艦阿賀野型
九八式10cm高角砲65101,00013,30019
搭載艦大鳳、大淀、駆逐艦秋月型
十年式12cm高角砲451282510,06510~11
搭載艦青葉型、妙高型、高雄型、赤城、加賀、大鷹、雲鷹
八九式12.7cm高角砲4012.7(5)7209,43914
搭載艦戦艦金剛型、扶桑型、伊勢型、長門型、大和型、空母加賀、龍驤、蒼龍、飛龍、翔鶴型、雲龍型、信濃、祥鳳型、龍鳳、千歳型、飛鷹型、冲鷹、神鷹、海鷹、重巡妙高型、高雄型(鳥海を除く)、最上型、利根型、軽巡5,500トン型(昭和18年以降順次搭載)、駆逐艦松型

砲弾

砲弾の種類は大きく分けると艦船攻撃用の徹甲弾と対空用の榴散弾がある。

徹甲弾は敵艦の内部に侵入して爆発しなければならないので、遅延信管を用いている。また、敵艦の手前で海中に没した場合は水中弾となって水面下を進み、艦腹を突き破ることが確認されたので、水中での直進性を良くするために、被帽と呼ばれる先のとがった覆いは着弾後飛散して頭の平らな砲弾となるように作られた。

対空用砲弾は三式弾がよく使用された。構造は砲弾の中に火災を起こさせる薬品(硫黄とゴムなどの粉末)が詰まった直径2cm長さ10cmの筒状の弾子が、40センチ砲なら735個、36センチ砲なら470個も入っている。砲弾後端には放出火薬があり、時限信管が働いてこの焼夷弾子を秒速200メートルでまき散らし直径500メートルの網を来襲する敵機にかぶせることとなる。昭和17年10月13日、米軍に奪われたガダルカナル島に艦砲射撃を加えた際に、この三式弾が使用された。通常陸上への艦砲射撃は敵陣地のトーチカなどの構築物を破壊するために行うので徹甲弾や通常弾を使用するが、この時は敵飛行場にある航空機を破壊する目的もあったので、戦艦金剛は2万メートルの距離から104発の三式弾を飛行場へたたき込んだ。一式徹甲弾を打ち込んだ霧島とともに、この攻撃で敵機57機を撃破し、滑走路および周辺施設を破壊した。三式弾は戦艦の主砲用に開発されたが、後に重巡の20センチ砲、12.7センチ高角砲用も開発されて各艦に搭載された。

機銃

機銃の装備主目的は対空用である。初期はホチキス社製の13mm機銃を採用していたが性能的に劣るため同じホチキス社の25mm機銃を輸入し、九五式連装25mm機銃として制式された。さらにそれを国産化したものが九六式25mm機銃で、単装、連装、3連装が制式となった。この25mm機銃は、初速900m/s、最大射高5,500m、最大発射速度260発/分となっており、終戦まで生産が続けられて約33,000門が作られた。

噴進砲

対空ロケット弾を発射する架台で、正式には12cm28連装噴進砲という。装填されるロケット弾は、四式焼霰(しょうさん)弾(ロケット式焼霰弾、通称ロサ弾)といい、着火すると1.1秒燃焼し飛翔、5.5秒後(1,050m)もしくは8秒後(1,500mか1,700m)に爆発し、60個の焼霰弾子をまき散らすものである。戦艦では伊勢、日向が、航空母艦では瑞鶴、雲龍、天城、葛城、信濃、瑞鳳、龍鳳、千歳、千代田、隼鷹が搭載したが、これによる戦果はほとんどなく(確認されているのは、昭和19年10月25日のレイテ沖海戦において、瑞鶴から撃たれた噴進砲弾でカーチス・ヘルダイバー1機を撃墜している。噴進砲のデビュー戦であった。)威嚇兵器の域を出なかったようである。

連続して撃つと砲身が湾曲して撃てなくなったり、あまり早くから撃つと白煙で25mm機銃の照準の邪魔になる、次発装填にに時間が掛かるなどの欠点があり、時限信管が作動するタイミングの難しさも重なり、熟成には時間がかかる兵器だった。

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