小型潜行艇の特徴
甲標的 艦隊決戦の露払いとして考え出された小型潜行艇である。秘密兵器として開発されたので砲撃訓練用の標的ということにしたため、名前も甲型標的、つまり甲標的となった。艦隊決戦が起こらなかったので、敵港湾へ忍び寄り、湾内に停泊している敵艦へ攻撃する戦術へと変更された。船体があまりに小さいため波の影響を受けやすく、また艦首に搭載している魚雷を発射すると1トン近い浮力が発生するため、それが静まるまで次発の発射ができなかった。的速、的角、雷速、打ち出し角度すべて艇長の暗算で行われていたので魚雷を命中させるのは至難の業だったに違いない。
蛟龍 正式には甲標的丁型と呼ばれる。甲標的を大型化してエンジンを載せ、航続力と人員を増やしたタイプである。水上航続距離は8knで1,000海浬、水中航続距離は2.5knで125海里だった。本土決戦の切り札とされ、1,000隻の大増産計画が立てられ各地で生産に入ったが、海龍や回天の増産も行われることになりかなり縮小された。終戦時には約150隻が完成し、約460隻が建造中だった。
小型潜行艇のスペック
諸元 | 甲標的甲型 | 甲標的乙型 | 甲標的丙型 | 甲標的丁型(蛟龍) | |
---|---|---|---|---|---|
水中排水量(t) | 46 | 50 | 50 | 59.3 | |
全長(m) | 23.90 | 24.90 | 24.90 | 26.25 | |
最大幅(m) | 1.85 | 1.88 | 1.88 | 2.04 | |
出力(馬力) | 水上 | - | 40 | 40 | 150 |
水中 | 600 | 600 | 600 | 500 | |
速力(kn) | 水上 | - | 6.5 | 6.5 | 8.0 |
水中 | 19.0 | 18.5 | 18.5 | 16.0 | |
航続距離(kn-海浬) | 水上 | - | 6-300 | 6-300 | 7-980 |
水中 | 6-80 | 4-120 | 4-120 | 4.5knで22時間 | |
安全深度(m) | 100 | 100 | 100 | 100 | |
発射管 | 首2 | 首2 | 首2 | 首2 | |
乗員 | 2 | 3 | 3 | 5 |
水中特攻兵器の特徴
回天 回天は九三式三型魚雷(酸素魚雷)を改造したもので、魚雷の本体に外筒をかぶせて、気蓄タンク(酸素)の間に一人乗りのスペースを設け、簡単な操船装置や調整バルブをつけ、襲撃用の潜望鏡を設けた特攻兵器である。突撃方法は、潜望鏡で敵艦の位置・速力・進行方向を確認、これを元に射角などを計算して敵艦と回天の針路の未来位置が一点に確実に重なる(命中させる)ように射角を設定して回天を進行させた。
海龍 秘匿兵器であったので「SS金物」と暗号名で呼ばれていた水中特攻兵器である。本艦には大型の水中翼があり、また操縦装置は陸上爆撃機銀河から流用されたジョイスティック装置を装備していて、現代の潜水艦装備を先取りしていた。水中速力が遅いので、攻撃目標は速力の遅い輸送船とされていたが、行動半径が100kmほどしかない海龍ではいかに速力の遅い輸送船でも、護衛艦を振り切って攻撃するのは困難であっただろう。
水中特攻兵器のスペック
諸元 | 回天1型 | 回天2型 | 回天4型 | 海龍 | |
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水中排水量(t) | 8.3 | 13.4 | 13.2 | 19.3 | |
全長(m) | 14.75 | 16.50 | 16.50 | 17.28 | |
最大幅(m) | φ1.0 | φ1.35 | φ1.35 | 1.3 | |
出力(馬力) | 水上 | - | - | - | 100 |
水中 | 550 | - | - | 100 | |
速力(kn) | 水上 | - | - | - | 7.5 |
水中 | 30 | 40 | 40 | 10 | |
航続距離(kn-海浬) | 水上 | 5-450 | |||
水中 | 30-23,000m | 40-25,000m | 40-27,000m | 3knで12時間 | |
安全深度(m) | 80 | - | - | 200 | |
爆装(kg) | 1,550 | 1,550 | 1,600 | 60 | |
乗員 | 1 | 2 | 2 | 2 |