雲龍、天城、葛城の特徴

雲龍

日本が翔鶴、瑞鶴を建造しているときにアメリカはエセックス型空母3隻の建造が決定された。これに対抗して第五次補充計画(通称マル五計画)で大型空母3隻を建造することを決めたが、開戦となり建造計画は戦時建造計画(通称マル急計画)に切り替わり、実行可能な中型空母1隻建造が決まった。これが雲龍である。

当然、新たに設計している時間はない。雲龍は既に完成している飛龍の設計図を流用することとなる。飛龍は防御と艦橋に問題があったが、搭載機数の多く実用性の高い艦だったので、船体や飛行甲板は飛龍と同一のものにし、一部を改善して急ぎ建造することにした。艦橋の位置は蒼龍と同じ右舷前方とし、煙突も水平に突き出す形にして蒼龍方式とした。また、飛龍にはエレベーターは3基あったが、急増艦なので2基に減らし、そのかわり1基の大きさを14㎡と大鳳と同じ大型のものにした。

ミッドウェイ海戦の戦訓から、格納庫内の火災に対して炭酸ガスを噴出させても拡散してあまり効果がないので、2%の石けん水を消火液として噴射する装置を取り付けた。また、ガソリン・タンクが爆発のショックで破損してガソリンが漏れ出すのを防止するのに、タンクの周囲を約1mのコンクリートで固める方法をとった。さらに、万が一ガソリンが漏れ出たときに、強制的に艦外へ排気できるように強力な送風機が増設された。その他、飛龍で実現できなかったバイタルパートの防御も行い、改飛龍型として強力な中型空母に仕上がっていった。

航空攻撃に対する防御とともに対空兵装の強化も図られた。高角砲は飛龍と同じ12.7cm連装砲6基12門が両舷に3基ずつ配備され、25mm3連装機銃が22基66門、25mm単装機銃が30門、それぞれ両舷および艦橋付近に配置された。さらに、12cm28連装噴進砲が両舷に3基ずつ計6基も配備された。この噴進砲は命中精度が悪いので狙って落とすというよりは威嚇のための兵器だったようである。このほか対空見張用として21号電探2基、13号電探2基が搭載されている。

完成が他の僚艦より2箇月ほど遅れた葛城は、機関の生産が遅れたのが原因で、結局駆逐艦用の罐とタービンを搭載したため、機関出力は104,000馬力しかなく、僚艦より2kn遅い32knになってしまった。

雲龍、天城、葛城の改装

雲龍は昭和19年8月6日、天城は昭和19年8月10日、葛城は昭和19年10月15日に完成しているので大きな改装はない。

雲龍、天城、葛城のスペック

諸元雲龍天城葛城
基準排水量(英トン)17,15017,15017,150
公試排水量(メートルトン)20,40020,40020,200
水線長(m)223.00223.00223.00
最大幅(m)22.022.022.0
飛行甲板(長さ×幅、m)216.9×27.0216.9×27.0216.9×27.0
出力(馬力)152,000152,000104,000
速力(kn)34.034.032.0
航続距離(kn-海浬)18-8,00018-8,00018-8,000
備砲12.7cm連高×6、25mm連×1312.7cm連高×6、25mm連×1312.7cm連高×6、25mm連×13
搭載機数57+857+857+8
昇降機数222
沈没19.12.18/上海沖/潜水艦20.7.28/呉(着底)/航空機21.12.22~22.11.30/解体処分

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