大鳳の特徴

大鳳

大鳳は第四次補充計画(通称マル四計画)で1隻だけ建造された空母である。昭和16年7月に起工されたが、建造途中の昭和17年6月にミッドウェイ海戦が行われ、4空母を失った戦訓によって飛行甲板に重防御を施した世界でも類を見ない空母として誕生する。

ミッドウェイ海戦で沈没した日本の赤城、加賀、蒼龍、飛龍は、4隻とも急降下爆撃機の放った爆弾によって格納庫に火災が発生し、格納庫内の魚雷や爆弾に引火して大爆発を起こした。そこで、空母最大の弱点である上空に向けて大きく広がった飛行甲板を、爆弾から守るために防御を施すこととなった。空母の特質上、上甲板より上に大きな構造物があるので、どうしてもトップ・ヘビーになりやすい。広い飛行甲板に全面防御甲鈑を張るとなると、膨大な重量が艦の最上部に載ることになり、トップ・ヘビーになることは間違いない。そこで、発着艦に必要最低限のスペースを調査してみると、長さは150m、幅は18mで十分と判明し、その部分にのみ防御を施すことが決まった。その結果、エレベーターを3基設置することができず2基とし、エレベーター上は50mmの防御甲鈑(エレベータとエレベーターの間は95mm)を張ることになった。できるだけ重点箇所のみの防御にしようと努めたが、それでも復原性に問題ありと判断し、飛行甲板の水線上からの高さを極力低くする方法がとられた。しかしながら、飛行甲板の高さは、重い魚雷や爆弾を抱いた攻撃機や爆撃機を発艦させるにはできるだけ高くしてやりたい。この二律相反する点の妥協点は水線上12mという高さだった。

トップ・ヘビー対策は大鳳の空母としての性格も変えてしまった。つまり、搭載機数も少なくしないとまだまだトップ・ヘビーだというのである。そこで、搭載機を戦闘機24機、爆撃機24機、偵察機4機合計52機として、そのかわり余分に航空燃料や爆弾、魚雷を積み、他の空母が損傷しても大鳳へ着艦させて反復攻撃ができるようにしたのである。まさしく洋上に浮かぶ不沈基地構想である。

大鳳の外観上の特徴は、煙突と艦首にある。飛行甲板を水線上12mと低く抑えたので、赤城、加賀のような湾曲煙突にすると、海が荒れた場合、波が煙突内に逆流することが考えられた。そこで艦橋と一体化して、なおかつ外側へ26度傾けると着艦時に悪い影響を及ぼす気流が艦尾で発生しないことが分かった。もうひとつの飛行甲板を低くした弊害は、凌波性が悪くなるということである。艦首が波を被ったとき飛行甲板まで波に洗われると航行に支障を来す。そこで、日本海軍の空母として初めてエンクローズド・バウ(ハリケーン・バウ)を採用した艦となった。

大鳳の改装

大鳳は昭和19年3月に就役するとすぐに第一航空戦隊へ編入され訓練の後、あ号作戦発令により昭和19年6月、マリアナ沖で米機動部隊を迎え撃ったが、1発の潜水艦から発射された魚雷によってガソリンが漏れだし、引火、大爆発を起こして沈没してしまったので、改装はしていない。

大鳳のスペック

諸元大鳳
基準排水量(英トン)29,300
公試排水量(メートルトン)34,200
水線長(m)253.00
最大幅(m)27.70
飛行甲板(長さ×幅、m)257.5×30.0
出力(馬力)160,000
速力(kn)33.3
航続距離(kn-海浬)18-10,000
備砲10cm連高×6、25mm3連×22
搭載機数52+1
昇降機数2
沈没19.6.18/マリアナ沖/潜水艦

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