鳳翔の特徴

鳳翔

鳳翔は日本海軍が持った初めての空母である。しかも、イギリスやアメリカのように他の艦種を改造した空母を建造してから新設計の空母を手がけたのではなく、いきなり最初から空母として設計し、建造したのである。もちろん、イギリスやアメリカの改造空母を見て研究したことは間違いないが、いきなり制式空母を建造する決断はすばらしい。

艦形としては、右舷前方に艦橋があるアイランド・タイプであり、艦橋後方には3本の起倒式煙突がある。飛行機が発着艦するときは煙突が水平に倒れ、舷側に設けられた穴から海水をくみ上げて煙路に噴射して冷却した排煙を出す仕組みになっている。格納庫は前後に区切られ、前部格納庫には戦闘機を後部格納庫には攻撃機をそれぞれエレベーターで出し入れした。飛行甲板は艦首から艦尾までいっぱいに張られた全通甲板で、前部5分の1くらいの区間は前方に傾斜が付けられ、発艦の際の勢いを増すようになっていた。

格納庫の周りにはプロムナード・デッキ(通常は客船において客室の周りを取り囲むように設けられた遊歩甲板のこと)が設けられた。これは4基の14cm単装砲を装備していたので、砲の操作上プロムナードが必要だった。

日本海軍独特の仕様に、補用機というのがある。正規の搭載機のほかに機体を分解して格納庫の上部に収納して、故障したり被弾して使用できなくなった機に換えて補用機を組み立てて使用するものである。戦闘が始まるかなり前に故障が判明すれば組み立てる時間もあろうが、戦闘中には使用できないだろう。

鳳翔の改装

鳳翔はいきなり建造した空母にしては大きな欠陥もなく実用性の高い艦だった。しかし、実用試験を繰り返すうち少々具合の悪い箇所が出てきた。先ず一番の問題は、右舷に設置した艦橋である。小型空母の鳳翔にしては大きすぎ、設置した場所も飛行甲板が細くなっていく所でもあったので、発進のときに艦橋が邪魔になることが分かった。さらに、発艦の手助けにと思って付けられた飛行甲板の傾斜は、実際には何の役にも立たないことが分かり、水平である方が良いと言う結果が出た。こうして1回目の改装は、艦橋を撤去して飛行甲板下の前方に移し替えられてフラッシュデッキ・タイプとなり、飛行甲板の傾斜も水平に直された。

続いて行われた改装は、飛行機が着艦してから速度を減じるのに縦に張ったワイヤにタイヤをこすりつけていたものを、ワイヤを横に張り替えフックを使ってワイヤに引っかけて停止する形式に改めた。そして、重量が嵩張り艦の復原性に問題のあった起倒式煙突を水平よりやや下に向けて固定式とした。その後、飛行甲板の延長工事を受けたりしている。

鳳翔のスペック

諸元鳳翔
新造時改装後
基準排水量(英トン)7,400
公試排水量(メートルトン)9,44910,500
水線長(m)166.00165.00
最大幅(m)18.0018.00
飛行甲板(長さ×幅、m)158.2×22.7180.8×22.7
出力(馬力)30,00030,000
速力(kn)25.025.0
航続距離(kn-海浬)14-10,000
備砲14cm単×4、7.6cm単高×225mm3,2,1×若干、13mm×若干
搭載機数15+6
昇降機数22
沈没21.8.31~22.5.1解体処分

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